「ロ、ローラ‥‥た、頼む‥‥。」
俺はそう言いながらローラに抱きつく。ローラは困ったような、それでいて嬉しいような表情で
俺を見ている。
「お,お兄ちゃん。その‥‥気持ちは嬉しいんだけどぉ、今、朝だよぉ。」
「こういうのはもっと暗くなってからの方がいいとあたしは思うなぁ。」
そう言ったローラの顔は真っ赤になっている。
「ローラ‥‥‥‥」
ローラが真っ赤になりながら俺に何か言っているようだったが、今の俺には何も聞こえていない。
「頼むっ!風邪薬持って来てくれっ!!」
えっ?っというような表情を見せたローラだったが次第に自分の(いつもの)勘違いだと
いうことに気付き、
「お兄ちゃん。そういうことはもっと早く言ってよねぇ。
まったく‥‥、そんなことよりも、愛の告白だったりしたら嬉しかったのになぁ。」
あのなぁ‥‥
「お前みたいなガキンチョ、ザバが相手する訳ねぇーだろ。バカ!」
あちゃあ、ヘキサだよ。ったく、いつもいつも一言多いんだから‥‥
「大体、お前みたいに色気のかけらもねぇガキがいっちょ前に顔赤くしてんじゃねぇーよ。
気持ち悪い‥‥。」
ヘキサっ!バカっ!それ以上言うな!!
「‥‥‥‥」
あ、やば‥‥、ローラ怒ってるよ。めちゃくちゃ怒ってるよ、あれは‥‥。
「ヘキサのバカっ!あんたなんか、どっか行っちゃえ!!」
ローラはテーブルの上にあったビンやら何やらを手当たり次第にヘキサに投げつける‥‥
ガシャーーーーン!!!
激しい音と共にビンがことごとく床に散乱する。
その内のひとつがヘキサめがけて飛んでくる。‥‥だがヘキサは難なくそれをかわし、
風邪でぼぉーっとしていた俺へと勢いよくぶつかる。
「ヘキサの馬鹿ぁーーーーーーーーーっ!!」
ローラはそのまま泣きながら部屋から出て行き、後には、割れたビンのかけらと
訳のわからないビンをかぶった俺がこの部屋に残された。
(ヘキサはどうやら都合が悪くなったのか、姿を消してしまったらしい‥‥)
まさかこの薬がこの後あんな事件になろうとは、
このときの俺には、まったく思いもしていなかった‥‥
おっと、そう言えばまだ自分の名前を名乗るのを忘れていたようだ。
俺の名前は『ザバ=クレイスト』。
自警団第三部隊を維持させる為と、そして亡きノイマン隊長の意志を受け継ぐ為に、
この一年間、自警団員として住民の苦情等の処理にあたっている。
いくら財政の援助が断たれて、自警団の活動が有料化したからと言っても無料奉仕だからと
言って住民の些細な苦情を真面目に受けようとしない公安には任せられない。
‥‥頑張らないとな。
うう、そう言えばさっきの薬ビンをかぶったせいか寒気がして来たなぁ。
ちょっと風呂にでも入るとでもするか。幸い今日はもう、依頼が片付いた後だし‥‥。
それに、飛び出して行ったローラも捜さないと‥‥。ったく、なんでいつもいつもこんな日に
限ってこんな目に遭わなくちゃいけないんだ。
俺はぶつぶつと文句を言いながら自警団寮の風呂場へと急ぐ‥‥だが、風邪のせいか
思うように足が進まない。
「あっれぇ〜〜。ザバ、何やってんのぉ〜?他の皆はぁ?」
この緊張感のかけらもないような人物‥‥『マリア・ショート』だ。
彼女はショート科学研究所という所の娘で、かなりの魔法オタク‥‥
けど、なんでここに来てんだ?
きょとんとしている俺を見て、マリアは簡単に用件を告げる。
「あのさぁ、ここに薬置いてなかった?実は研究所の方の手違いでさぁ〜違う薬が
届いちゃったみたいなんだぁ。」
さらりと言うマリア‥‥勘弁してくれ。
「それって風邪薬っぽいビンに入った奴かなぁ?マリア‥‥?」
マリアは笑いながら
「そうそう、そんな感じの‥‥!?って、も、もしかして‥‥」
マリアははっとして床に散乱しているビンの破片を見る‥‥そして、恐る恐る俺の方の顔を見る。
俺はビンの中の液体を多量に浴びて赤や黄色だの色の液体が混ざって何がなんだか
わからない色に染まってる。
「あははっ、ザバってばすっごい変な色ー。」
マリアは引きつった笑みを浮かべながら、そそくさとその場を後にする。ドア越しに
『お大事にぃ〜〜〜〜〜〜!!』
ダァァーーーーーッ
‥‥逃げたな。
ふぅ‥‥。ま、一応大丈夫みたいだから一風呂浴びてローラを探さないとな。
しっかし、マリアのあの慌て方。あれは絶対何か知っている。
この薬、なにか悪い副作用がなければいいんだが‥‥。
そんなこんなでやっと風呂から出る。ホントは風邪ひいた時は風呂に入らない方が
いいんだが、依頼が終わった後だったんで、汗かきまくっていたんだから仕方がない。
着替え終わって、まだちょっとだけふらふらする足取りで自室まで戻る。
さて、と。ローラを捜しに行かなきゃな。
とりあえずは、陽の当たる丘公園にでも捜しに行くか‥‥
(数分後)
っかしいなぁ‥‥ここにはいないようだな。じゃ、ローズレイクかもしれない。
行ってみるか。
ローズレイクに行くと、カッセル爺さんがそこにはいた。
とりあえずは簡単に事情を説明する。‥‥だが、すでに一足違いでローラはここにはいないと
いうのがわかった。
その後、俺はあちこちとローラの行きそうな所を捜し回ってみたがドコにもいない
既に辺りは暗くなり始め、未だローラは見つからず‥‥。まだ、家の方にも戻っていないようだ。
仕方がないので寮まで戻ることにした。もしかしたら入れ違いで寮の方に戻って来てるかも
しれないしな。
案の定、そこにはローラが戻って来ていた。
(ちなみにヘキサの奴はいまだに姿を消したままである)
『あっ!』
互いに目が合い、二人とも黙り込んでしまう。
困った。なんて言えばいいんだろう‥‥?やっぱりヘキサに出て来てもらってしっかりと
謝らせた方がいいんだろうか?いや、それともローラに慰めの言葉でもかけてやった方が
いいのか‥‥。
俺がそう、あれこれと思案していた時、以外にもローラの方から切り出して来た。
「あの‥‥、ごめんねぇ。お兄ちゃん。」
どうやら、ローラが投げつけたビンが俺に当たり、それにもかかわらず俺があちこちと
捜し回っていたことや俺が風邪でダウンしかかってたことに対して、(一応は)自覚が
あったらしく反省しているようだ。
少し脅えたような表情のローラ。俺がじっと無言でいるのに不安になってきたのか
「お兄ちゃん、ひょっとして‥‥まだ、怒ってる?」
と聞いてきた。うーん、そういう訳じゃなかったんだがなぁ‥‥。
俺も、ローラが反省しているようなのであまり怒らない方がいいなと思い
「ああ、おもいっきり怒ってる。」(ぜんぜん、気にしてないよ。)
あれ?なんか俺の言いたい言葉と違う言葉が出てるぞ?熱のせいか?
いや、意識はしっかりしてるよな。じゃあ、なぜ‥‥?
あ、やばっ!ローラ泣きそうになってる。早く弁解しないと‥‥。また、泣きながら
飛び出された日にゃ俺は三国一の大悪人になってしまう。
さっきのこともあるし、な。
俺はあれこれと必死になって弁解する‥‥。しかし、そのことごとくが俺の意と反した
言葉だった。や、やばい‥‥。このままでは本当にローラを泣かせてしまう。
はっ、もしかするとさっきの薬の効果なのかも‥‥?きっとそうだっ!
俺はローラのそのことを説明しようとした‥‥。だがっ!
ダッ!
ローラは泣きながら部屋を出て行こうとする。
「もう来るなっ!」(待って!)
いかんっ!言葉じゃ駄目なのを忘れていた。ドアを開けて泣きながら走り去って行こうと
するローラの腕を、俺は慌てて掴む。
腕を掴まれながら振り返るローラの目には涙が滲んでいる‥‥。
うっ、罪悪感‥‥
俺はローラの肩に添えるようにして両手を置き、ローラが落ちつくまでじっと待つ。
どうしよう?言葉で伝えようとしても自分の心と逆の言葉で傷付けちまうだけだし‥‥
そうだ、心を込めて話そう。そうだっ!心を込めて語ればきっと伝わるはずだ!
俺はそう決心し、ローラをみつめながらこう言った‥‥。
『俺は大人っぽいローラが嫌いだっ!!』
(俺は子供っぽい方がローラらしくって好きだよ。)
室内がシーンと静まり返り、しばらく沈黙が訪れる‥‥
もう、駄目だ。変に誤解されてしまったな。こりゃ。
やっぱりだ‥‥。ローラの方を見ると、なんと答えればいいのか答えに困ったような
表情をしている‥‥が。
「おにぃ‥‥ちゃん?それって‥‥」
あ、やっぱり勘違いしてるな。まぁ、無理ないよな。
頼むっ!次の言葉だけは言わないでくれ‥‥俺は祈るような目でローラの方を見る。
『ロリコン?』
ガァーーーーーーーーン!!
あう‥‥やっぱり言われてしまった。シクシク‥‥
俺は必死になって言い訳する。
「そうだよ。」(違うよ。)
ダァーーーーーーッ!
違うっ!違うんだ!!そんな目で見ないでくれローラ‥‥
ローラは顔を伏せてじっと黙っている。
「お兄ちゃん?」
「は、はいぃ‥‥」
もうすでに声がうわずっている。なんとか言い訳しないと‥‥。
「あの‥‥ローラ?」
「ううん、いいの。お兄ちゃんの気持ちよくわかったから‥‥。」
ホントか?ローラ
「でもねお兄ちゃん。ローラもいつかは大人になっちゃうんだよ。それでもいいの?」
あう、やっぱりわかっちゃいねぇ。
「ああ。」(だから違うんだ‥‥)
俺の必死の言い訳はことごとく失敗に終わった‥‥
しかし、なんとかローラのご機嫌は直ったようで、べったりと俺にくっついている。
ま、泣かれるよりはこの方がいいか。
そういえば、いつの間にか俺の本心と逆の言葉は出なくなっていた‥‥。
きっと薬の効果が切れたんだろうな。
俺はさっきのことをローラに説明しようとした‥‥。
「もぅ‥‥。お兄ちゃん、その話はもういいってば。」
ローラはクスクスと笑いながらぴったりと寄り添う。カンペキ誤解してるよ。
それからのローラはずっと俺から離れようとはせず、
辺りはだんだんと暗くなっていった。
「ローラ?そろそろ帰った方がいいんじゃ‥‥」
そう、言いかけた時、すでにローラは寝入っていた。
あーあ、ったく‥‥。そう思いながらも、不思議と腹は立たなかった。
ここで一つ断言しよう!
それは『俺がロリコンだったからではないっ!』と。
でもホント、ローラは『寝顔だけは』可愛いんだよな。
俺は、やれやれと言いながらローラに自分の毛布を掛けてやる。
しばらくじっと寝顔を見つめていたが、まさか泊めるわけにもいかないんで修道院まで
ちゃんと送り届けた。
後日
俺がロリコンだという噂が此処、エンフィールドに広まったのは言うまでもない‥‥。
後書き、のよ〜なもの
ども、てぽです。
SS(と呼べるかど〜かは知らないが)を書くのはすっげ〜久しぶりなもんで
かなり訳のわからないものになってしまいました。
それに、まだまだ色々な面で未熟な部分が多く、果たしてSSと呼べる代物なのか
どうかはわかりませんが‥‥。まぁ、読んでやって下さい。
しっかし‥‥、悠久も2も最近全然やってなかったんだよなぁ‥‥。
ま、済んだことだから気にしないっと。(爆)
なんか言い訳がましくなったけど、そんな中でのローラSS
面白いと思っていただけたら幸いです。
今、やっているゲ〜ムは「みつめてナイト(借り物)」
ときメモの朝日奈さんとロリキャラだったら大体は桶な奴なんで
もし、なにか書いてくれという依頼があればまた書かせていただきますデス。m(__)m
‥‥っと。後書き書いてないのを忘れるところだった。(^^;
えっと、今回のお話はK.Ktouthさんから(バイト中に)頼まれたもので
その時に、ある程度お話が浮かび上がったんで引き受けました。
ローラって結構おしゃべりだからこ〜いう状況になったら面白いだろ〜なって思ってる
ウチにだんだん話が進んでいったんでわりと楽に書けました。
ただ、書いてるうちに『こ〜した方が‥‥』とか『あ〜した方が‥‥』とか次々と
浮かんでくるんで修正に修正重ねたことが一番の苦労だったりする。(^^;;
ま、主人公君には悪いけどこのまま「ロリ道」を極めて欲しいですね。私の為に(笑)
最近、実生活にまで影響を与え始めてきてるんで幼女モノ書きたいっ!(火暴)
SS同様、なんだか訳のわからないまま終わる‥‥
作品情報
作者名 | TEPPO |
---|---|
タイトル | かんちがい…? |
サブタイトル | かんちがい‥‥? |
タグ | 悠久幻想曲 2nd Album, ローラ |
感想投稿数 | 11 |
感想投稿最終日時 | 2019年04月20日 02時51分12秒 |
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- [★★★★☆☆] 次もぜひ書いてくだせぇ。
- [★★★★★☆] ローラが主体なのがよかった
- [★★★★☆☆] おましろかったデス〜^^いやぁ、ことごとく2nd主人公が壊れてますね・・っていうか、後半(?)では、もう風邪のことが忘れられてるっぽい感じがする・・・。
- [★★★☆☆☆] ローラはお子様じゃありません!立派なレディーです!
- [★★★★★★] 続きじゃなくってローラの出る違うの書いて欲しいナン★