春の匂いが風に乗っていた。
桜咲く3月
高校生活最後の朝。
詩織はゆっくりと目を覚ました。
まだ卒業式までには、時間がある。
「‥‥‥今日で‥‥もう卒業なのね」
ベットから身を起こし、机の上を見ながら、寂しそうにつぶやいた。
机の上には、フォトスタンド。
入っている写真は‥‥‥
「神様。勇気を私にください」
鏡の前で、詩織は胸に手をあてた。
目を閉じて、心の中で何度も何度も繰り返した。
ある顔を思い浮かべながら。ある声を思い出しながら。
そして、ゆっくりと目を開けて、鏡の中の自分を見つめた。
鏡にうつっているもう一人の自分がこう言う。
「詩織、私を見て。私は詩織。その私を見て。」
「うん‥‥」
「私はどう?」
「落ち着かない顔してるわ」
「そう‥‥なら、あなたもそうなのよ」
「‥‥‥」
「私を信じて。私もあなたの事信じてるから」
「‥‥‥‥あなたって強いのね。うらやましいわ」
「いい?‥‥私は詩織。あなたなのよ」
「あなたは私‥‥」
「そう。だから頑張って。あなたが強いから、私も強いの‥‥」
「‥‥うん」
何か、決心がついたように、小さくほほえんだ。
もう一人の自分も、小さくほほえんだ。
「そう。それでいいのよ」と。
ちらりと、机の上の写真と、その前に置いてある白い封筒を見た‥‥‥
「今日で最後だから‥‥きっと」
あなただけに見つめて欲しい。
‥‥ love me please ‥‥
後書き
OPの前にこーいうストーリーがあるんじゃないかと勝手に思って書いた物です。
OPの内容自体、卒業式の最後の日をイメージしたような感じなので、OPのプロローグみたいな感じなのが欲しかったんです。
PS版で言うところの、「出会いがあれば別れもあるのです・・」というあのくだりのような、そんなどこか物哀しい、でも未来(あした)へと踏み出す勇気みたいなのを表現できたらいいな。という事を思いつつ‥‥‥
作品情報
作者名 | じんざ |
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タイトル | あの時の詩 |
サブタイトル | 02:卒業の朝に… |
タグ | ときめきメモリアル, ときめきメモリアル/あの時の詩, 藤崎詩織 |
感想投稿数 | 283 |
感想投稿最終日時 | 2019年04月09日 21時52分33秒 |
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- [★★★★★☆] 詩織ちゃんの気持ちが通じてきます
- [★☆☆☆☆☆] みじかすぎる
- [★★★★☆☆] 01ってあるんですか〜?あったら読みたいな!
- [★★★★★★] お約束ネタですが、何か面白そうな出だしですね!でも、「ときめき」は省略しない方がいいのでは?しょうがないので、自分でCDを掛けました。もちろん金月真美さんの1st
- [★★★☆☆☆]