「写真できたんだって?」


放課後、3年A組の教室に沙希と夕子と好雄と未緒がやってきた。
机を向かい合わせにして写真を分けていた詩織と公が顔を上げた。

「遅かったじゃない……」
「ごっめーん、掃除当番サボったのがばれちゃって……」
夕子が言い訳をする。
「ふふ……ひなちゃんらしい、かな?」
詩織が笑いながら写真を広げた。


全国大会優勝の興奮が収まり、詩織たちが通常の学園生活のペースに戻ったのは、9月も終わり、もうすぐ高校生活最後の文化祭という10月の初めだった。
全国大会で仲間たちと撮った写真は、夕子がバッグの奥にフィルムを入れたまま、日本テレビのロケバスに置き忘れるという大ポカもあって、詩織たちの手元に届いたのは2日前のことだった。

「じゃ、これは……沙希が送るんだよ」
「え? わ、私が?」
夕子に田代の写真を押しつけられて沙希が慌てた。
「決まってるじゃんか。
 田代君の夢見て寝言言ったんだって? シオリンに聞いたよ〜」
「ちょっと、藤崎さん……」
沙希は詩織を睨むが、既に遅かった。
詩織は未緒に佐藤の写真を手渡しているところだった。
「じゃ、如月さん、これお願いね」
「わかりました」
未緒も真っ赤になって写真を受け取った。


「間宮君の写真は?」
夕子が詩織に尋ねた。
「公くんが送るんだって」
「公くんが?」
詩織の言葉に夕子が素っ頓狂な声を出した。
「うん……男の約束なんだって……なーんかいやらしいな……」
「そんなこと無いって」
公は笑いながら写真をまとめると、
「じゃ、俺、先に行くから。
 詩織は文化祭の練習があるんだろ?」
「うん……」
「それじゃ……」
公は詩織に向かってウィンクすると鞄を持って学校をあとにした。


前略

間宮、元気か?
こっちは相変わらずだ。
決勝の話なんかは、詩織から電子mailで聞いているんだろ?
だから、もう、その話は省略するぜ。
大会で撮った写真をそっちに送っておきます。
佐藤には如月さんが、田代には虹野さんがそれぞれ手紙を書くと思うので、期待して待っているように伝えてやってくれ。


喫茶店で紅茶を啜りながら公は間宮に送る手紙を書いていた。
ここまで書いて、公は鞄から一通の手紙を取り出した。


主人、元気か?
藤崎さんとはその後うまく行っているか?


そんな書き出しで始まっている手紙を公は苦笑しながら読み返した。


俺は、卒業したら、東京の専門学校に進むことに決めた。
テレビ電気専門の学校だ。
将来的には、クイズ番組を制作する制作会社に進めたら、などと考えている。
もし、うまく行ったら東京暮らしになるんで、その時は血を吐くまで飲もうぜ。


公は手紙を綴じると、自分の書きかけの手紙の続きを書き始めた。


詩織とは、あの決勝戦の前の夜に、気持ちを伝え合った。
応援してくれたお前に、真っ先に知らせたくてこの手紙を書いた。

ところで、俺は卒業したらアメリカの大学に進むことに決めた。
詩織とは離れて暮らすことになるが、それもいいかも知れないと思っている。
何しろ18年間、隣同士という関係が続いているんだからな。
この機会に離れて暮らし、『恋人同士』という関係を始めてみようと、自分では思っている。
だからって、俺がいない間に詩織に手を出すんじゃねぇぞ(笑)


最後に……お前には、本当に感謝している……では、これにて

主人公


公はそこまで書くとペンを置き、封筒に写真と共に手紙を入れた。
封筒の表には北海道の間宮の住所が書かれている。
「お金ここにおいておきます」
公はテーブルに紅茶代をおくと喫茶店を出た。

喫茶店の脇に、赤いポストが立っていた。

コトンッ

軽い音を立てて、封筒がポストの中に落ちた。
「そろそろだな……」
公は腕時計で時間を確かめると、きらめき高校に戻っていった。

陽が西に傾き、校門は赤い夕陽に染まっていた。


校門の脇に、一人の女性のシルエットがあった。
公がそばに駆け寄ると、それは公が期待していた人物……詩織だった。

「やっぱり……戻ってくると思ってた」
詩織はそう微笑むと公の腕をとった。

「文化祭の練習は終わったの?」
「うん、ついさっき……」
そう言うと、詩織は公に向かって恥ずかしそうに言った。


「家もとなり同士だし、たまには一緒に帰らない?」
「いいよ、一緒に帰ろう」

詩織の言葉に、公は頷いた。
詩織は公の腕に自分の腕を絡めた。


二人の頬が赤く染まっているのは夕陽のせいではなかった。
長く伸びた二人の影が夕暮れの道を進んでいった。




栄光への道
〜きらめき高校日本一への挑戦〜


〜出演〜


藤崎詩織


朝日奈夕子

早乙女好雄

虹野沙希

如月未緒


古式ゆかり 伊集院レイ 館林見晴

鏡魅羅 紐緒結奈 美樹原愛
清川望 片桐彩子 早乙女優美

鞠川奈津江 芹澤勝馬
戎谷淳 十一夜恵


赤井達人


伊集院理事長 有馬校長 穂積教頭


北斗農業の皆さん(間宮・佐藤・田代)
(友情出演)



主人公



〜参考資料〜


「全国高等学校クイズ選手権 (1)〜(16)」(日本テレビ)
「アメリカ横断ウルトラクイズ (1)〜(16)」(日本テレビ)


「クイズは創造力 理論編」長戸勇人著 (情報センター)
「クイズは創造力 問題集編」長戸勇人著 (情報センター)
「クイズは創造力 応用編」長戸勇人著 (情報センター)


「永田喜彰のクイズ全書」永田喜彰著 (情報センター)
「水津康夫のクイズ全書」水津康夫著 (情報センター)
「RUQSのクイズ全書」RUQS著 (情報センター)
「能勢一幸のクイズ全書 I」能勢一幸著 (情報センター)
「能勢一幸のクイズ全書II」能勢一幸著 (情報センター)


「史上最強のクイズ王決定戦公式問題集 (1)〜(3)」(情報センター)


「富士登山ハンドブック 改訂版」(自由国民社)
「富士山と遊ぶ・登る」(婦人画報社)
「るるぶ富士山'97〜'98」(JTB)


〜制作・著作〜


「栄光への道」実行委員会
企画/執筆 ハマムラ


〜挿入歌〜


「きらめき高等学校校歌」
作詞/赤井正詳


〜Special Thanks〜


(株)KONAMI


日本テレビ放送網株式会社


(株)NEC
(株)SCE
(株)任天堂
(株)SEGA


(株)NIFTY−serve
(株)3Web


ときめきメモリアルSS専用PATIO「ときめき文庫」
「ときめき文庫 運営会議室」
「ときめき文庫 リーダースPATIO」


FQUIZクイズ&パズルフォーラム


PATIO「ゲーム何でも屋」



感想をくださった皆様

そして、ここまで読んでくださったすべての皆様に


あ・り・が・と・う



この作品はフィクションであり、登場する人物、団体名、学校名は全て架空の物で、実在の物とは何ら関係ありません。
仮に似たような名前の物が実在しても、それはあなたの気のせいに違いありません。

Finale

作品情報

作者名 ハマムラ
タイトル栄光への道 第3部 全国大会編
サブタイトル終:「エピローグ」
タグときめきメモリアル, ときめきメモリアル/栄光への道 第3部 全国大会編, 藤崎詩織, 主人公, 早乙女好雄, 朝日奈夕子, ほか多数
感想投稿数1
感想投稿最終日時2019年04月10日 06時06分59秒

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