『こちらホーク1号、本部応答願います。オーバー』
『こちら本部、感度良好。オーバー』
『定期パトロールを終了。ただいまより哨戒飛行任務をホーク2号に引き継ぎます。オーバー』
『本部了解。直接2号と交信せよ。チャンネルはツーファイヴ。オーバー』
『ホーク1号了解。オワリ』
主人隊員は本部との回線を切断すると、チャンネルを変更し、ホーク2号を呼び出した。
『こちら1号、2号は誰だい? オーバー』
『こちら2号。藤崎です。オーバー』
『詩織か。ごくろうさん。
 本日ヒトヨンマルマル、ポイントD−3にて1号は定期哨戒任務を2号に引き継ぎます。オーバー』
『2号了解。任務を引き継ぎます。ポイントはD−3。オーバー』
『あ、そうそう、詩織。
 G−2地点で不審な電波をキャッチしている。本部には連絡済みだけど、一応念のために確認していく。
 それと今度の日曜日暇か?』
『2号了解。オワリ』
『えらくそっけないんだな。無視するのか?』
『主人隊員、通常チャンネルで余計なことは言わないの』
『へいへい…1号了解。オワリ』
交信を終えると公は機首をきらめき警備隊本部に向けた。と、その時だった!

ギャォーーーー!!!!!!

突然地面が割れて、巨大な物体が姿を現した。
主人隊員は機首を反転させてその物体の正体を確かめようとした。
『こちら1号、本部! 地面から怪獣出現。攻撃許可を願います!』
『こちら本部。
 今、古式本部長と片桐司令がこちらに向かっている。それまでは現状のまま待機。
 2号は1号の支援に迎え!』
『1号了解!』
『2号了解!』
主人隊員は怪獣の上空を旋回しつつ2号の到着を待った。


ビーッ!! ビーッ!!

非常警報がなり始めたきらめき警備隊本部、格納庫では戦闘機の発進準備が進んでいた。
「ようし! キラメキジャイロで出るぞ。夕子、いくぞ! あれ? 夕子?」
早乙女隊員がヘルメットを片手にキラメキジャイロに乗り込もうとした。
しかし同乗員の朝日奈隊員が見あたらない。
「ゴメーン!! 緊急用シューターがもろ混みで…」
「…………夕子……行くぞ!」
「OK! ヨッシー!」

Force gate,open! Force gate,Open!

発進口のゲートが開いていく。
『キラメキジャイロ、発進準備完了』
チェックを終えた早乙女隊員がコントロールルームに発進許可を求める。
『ジャイロ発進せよ!』
「発進!!」
キラメキジャイロは白煙をあげて飛び出していった。


警備隊本部の入り口のゲートが開いた。古式本部長が入ってくる。
「あのう…片桐指令、状況の…報告を…聞きたいの…ですが…」
「本日ヒトヨンヒトマル、ポイントG−2で、モンスター、怪獣出現。
 今、ホーク2機が上空待機しています。それと、ジャイロが支援に向かいました」
「そうですか…それでは…攻撃を…許可します。怪獣さんを…やっつけて…しまいましょう…」
いらいらしていた片桐指令が無線に飛びつく。
「攻撃を許可するわ。奴をこれ以上進ませないように。
 このままでは本部に向かってしまう。なんとしてもそこでけりをつけなさい」


『1号了解』
『2号了解』
主人隊員はミサイルのセーフティを解除した。
『フォックスワンを使用する』
『2号了解、フォックスワン、準備完了』
『撃て!』
2機のホークは同時にミサイルを発射した。怪獣に向かう。

ドーン!!!!!!!! ドーン!!!!!!

『命中! あ…!!』
ミサイルは命中したが怪獣は何のダメージもなかったようだ。ホークの方に向かうと口から火を噴いた。
ガガーン!!!
2機のホークが火に包まれた。
「うわぁ…」
「きゃっ!」
主人隊員と藤崎隊員は緊急脱出ボタンを押し座席ごと機外に飛び出した。
怪獣は警備隊本部に向かって進んでいった。怪獣がくぐもった声で吼えた。
バンチョー!…と


「ちょっと、ヨッシー! もうちょっとスピードでないの?」
「しゃぁねぇだろ、こっちはホークほどスピードはでねぇんだ!」
「レーダーに怪獣確認!」
朝日奈隊員が叫ぶ。
「げ、目の前じゃねぇか! 夕子、何やってたんだ」
「しょうがないっしょ!」
「攻撃するぞ!」
「了解!」
しかし、ジャイロは攻撃することはできなかった。
怪獣が腕から龍の形をした閃光を発し、ジャイロは撃墜された。
怪獣は遂に警備隊本部の目の前にやってきた。


本部では迎撃体制を整えるべく、隊員が走り回っていた。
「メーサー砲、準備急げ! 3班、ミサイルを配置せよ!」
片桐指令が次々と指示を出す。

ドーン!!!

怪獣の攻撃で建物の一部がやられたようだ。
「けが人を収容せよ。医務班急げ!」
指令は叫び続けている。
その時、古式本部長は…後ろの席でお茶を飲んでいた…。


医務班の虹野隊員も走っていた。
けが人が次々と運び込まれる。鏡隊員と協力するが、追いつかない。
「鏡隊員…包帯がもうないわ…」
「こっちもそれどころじゃないわ」
「もしかしたら、この警備隊本部…今日が最後かもね…」
「そんなことないわ、必ず…必ずトキメキマンが助けてくれるはずよ」
「そうよね、トキメキマンがいたわよね」
虹野隊員は治療を再開した。


ベイルアウトした主人隊員と藤崎隊員は警備隊本部に向かって走った。
本部に合流すれば、まだ武器はあるはずだ。
「あ、本部が!」
主人隊員は立ち止まって叫んだ。藤崎隊員も目を見張る。
「本部が…燃えている…」
「急ごう!」
二人は再び走り出した。その時、藤崎隊員が立ち止まった。主人隊員は気づかずに走っていったようだ。
藤崎隊員は胸のポケットから銀色のヘアバンドを取り出した。頭につけている黄色のヘアバンドを取り外す。
「詩織、何やってるんだ! え…まさか…」
藤崎隊員が居ないことに気づいて戻ってきた主人隊員が藤崎隊員の手の中の物を見る。
「詩織…まさか…」
「コウ君…私は…私は人間じゃないの」
「まさか…そんな…」
「私はTM573星雲から来たトキメキマンなの」
「詩織…」
「東の空に明けの明星が輝くとき、一筋の光が空へ向かって飛んでいく。それが私なの」
「詩織!」
「みんながピンチなの!」
藤崎詩織は銀のヘアバンド、トキメキバンドを頭に装着した。
「デュワ!!!!」


本部は壊滅的ダメージを受けていた。
古式本部長は片桐指令と相談し、生き残った隊員を本部棟から待避させていた。
早乙女隊員と朝日奈隊員もジャイロからの緊急脱出に成功し合流していた。
「くそう! 怪獣め! やりたい放題やりやがって!」
早乙女隊員が地団駄を踏んでいた。
「あ、あれは!」
虹野隊員が空を指さした。そこに現れた光はこちらにどんどん近づいてきた。
「トキメキマンよ!」
朝日奈隊員が叫ぶ。

トキメキマンは怪獣の上に到達すると。飛び降りながらキックした。
「シャァー!」
怪獣はトキメキマンに気づき、そちらに攻撃を加え始めた。
「バンチョーーー!!!」
トキメキマンが身をかわす。
「シャァーー!!」
トキメキマンが攻撃する。しかし怪獣には何のダメージも与えられない。
「ソデリュウーーーー!!!!」
怪獣が腕から龍の光を放つ。トキメキマンは腕からバリアを放出してこれを防ぐ。
「シャァーーー!!!!」
トキメキマンは必殺ハリセンスラッガーを放った。しかし効果はない。
怪獣はここぞとばかりに攻撃に出た。

主人隊員も警備隊の仲間達との合流に成功した。
「主人隊員。藤崎隊員は?」
片桐指令が尋ねる。主人隊員はトキメキマンの方を向きながら言った。
「トキメキマンは…詩織だったんだ」
「藤崎隊員が??」
他の隊員が驚いたように言う。
「詩織は、トキメキマンだったんだ。オレ達の地球のために戦ってくれていたんだ」
「そんな…」

「チョ−ガンリキ!!!!」
怪獣が眼から怪光線を発射した。それはトキメキマンの体を直撃した。
ピコーンピコーンピコンピコンピコン…
カラータイマーが点滅を始めた。トキメキマンは地球上では3分しか戦えない。
ピコンピコンピコンピコン…

地球上で幾多の敵と戦ってきたトキメキマン、そのトキメキマンにも最後の時がやってこようとしている。
がんばれ、トキメキマン。君がいなければ地球はどうなってしまうのだ!
立つんだ、トキメキマン!

カラータイマーの点滅が早くなっていく…そして…
ピ・コ・ン…
カラータイマーが消えた。
トキメキマンはその体を大地に横たえたまま動かなくなった。

「トキメキマンが!!」
「詩織!!」
隊員達が絶叫する。そこへ白衣を着た技術部の隊員が姿を現した。
「紐緒隊員!」
片桐指令が声をかけた。
「トキメキマンがやられたのね…くそ!」
「なにをしてたんだ!」
「指令、これを」
紐緒隊員は何かを指令に渡そうとした。
「なんだ、これは」
「マルス1999・アンゴルモア。
 計算によれば、これであの怪獣を吹き飛ばせるはずよ。私が征服する前に怪獣にやらせるもんですか!」
「あたしがやる!!」
そう言うと朝日奈隊員が弾丸を手に取り自分の銃にセットした。
「まだ試作品だから1発しかないわ。はずさないでね」
「まかせて! 縁日の射的で鍛えた腕を信用しなさい!!」
朝日奈隊員はこちらに向かってくる怪獣に照準を合わせ引き金を引いた。

バシュッ!

発射音を残して弾は怪獣の体に吸い込まれていった。そして…

ドッカーーーーーーーーンンンンンンンンン!!!!!!

怪獣の体はバラバラになって砕け散っていった。


「詩織! 敵は討ったぞ!」
隊員達が口々に叫んで喜び合った。
その時、空から光が降りてきた。朝日奈隊員がめざとく見つけた。
「あ、トキメキマンがもう一人!!」
「故郷から迎えが来たんだ」
主人隊員がボソリとつぶやいた。
「トキメキマンは故郷に帰るんですね」
虹野隊員が言う。
「あぁ、だからこれから私たちの地球は私たち自身の手で守っていかなければならないのよ」
片桐指令がみんなに言った。


『私はミハル…TM573星雲からあなたを迎えに来たの。
 さぁトキメキマン、故郷に帰りましょう』
『待って、地球は美しい。でも多くの敵に狙われているわ。
 今、私がここを離れるわけにはいかない』
『トキメキマン、地球は彼ら地球人の手で守らなければならないわ。
 さぁ! 帰りましょう』
『わかったわ、でも詩織は置いていく。
 彼女はまだ若い。彼女の人生はまだこれから…』
『…わかったわ。
 私は命を二つ守っている。その内の一つを彼女にあげましょう』
『ありがとう、ミハル…』


トキメキマンは地球を去った。
だが、われらの地球は常に狙われている。
その地球を守るのは、もうトキメキマンではない。これを読んでいるあなた達自身なのだ。
ありがとう、トキメキマン!
さようなら、トキメキマン!
私たちはあなたのことを決して忘れはしない!

to be continued...

作品情報

作者名 ハマムラ
タイトルときめきメモリアル短編集
サブタイトルトキメキマン
タグときめきメモリアル, 藤崎詩織, 主人公, 他
感想投稿数162
感想投稿最終日時2019年04月09日 15時58分25秒

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