「ようし、公! パスだパス!」
「好雄、行くぞ!」
公のクラスは体育の授業中だった。
今日の授業はサッカー。
グラウンドの隅では女子が走り幅跳びの授業をやっていた。
「はい、次は藤崎さん」
詩織が助走路を走りだした。
タッタッタッタッタ……
その華麗なフォームに公は思わず目を奪われた。
「公、行ったぞ!」
好雄の叫び声は耳に入らなかった。
そして……
「あ、あぶねぇ!!!!!」
ボカッ!!
後頭部に凄い衝撃を受けた公はそのまま気を失ってしまった。


「う、う〜ん」
公が目を覚ましたとき、周りには誰もいなかった。
(ここは……どこだ??)
頭をフラフラさせながら、周りを見回す。
(保険室か……あ、そうか体育の授業でボールが当たって気を失ったんだ……)
ふと、廊下から話し声が聞こえてきた。
「あ、館林先生。どうですか? 彼女の具合は??」
「あ、如月さんですね。ま、いつもの貧血のようですから、大丈夫でしょう。
 しばらく横になっていれば治ると思いますので、ベッドで寝させてあります」
「あ、そうですか。どうもすいません」
「いえいえ、仕事ですから。
 あ、それと……次の時間は……2Cの自習監督でしたっけ?」
「あ、そうなんです。
 すいません。島田先生が休みなもので」
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなって廊下で話していた先生も職員室や教室に向かって行ったようだった。
(隣で寝ているのは……如月さんか……)
公は衝立の向こうに視線を移した。
衝立の向こうで誰かが寝ているようで、寝息が聞こえてはいたのだが……廊下で保健の館林先生が話していた言葉からすると、文芸部でいつも一緒の如月未緒のようだ。
公は起きあがると衝立の向こうを覗いてみた。


「………………」
向こうのベッドでは未緒が寝息をたてていた。
何気なしに公は未緒の側に歩み寄った。
「如月さんの寝顔……可愛いな……」
眼鏡を外し、寝息をたてている未緒の顔は可愛かった。
公の視線にベッドの下の篭が入った。
「!!!!!!!!」
タオルで篭の上は隠されていたが……その中から、下着……ブラジャーが見えていた。
(ってことは……如月さんって、今は……ノーブラ???)
貧血をおこして倒れた未緒の胸の圧迫を取り除くため、保健の館林先生が外しておいたのだが、そこまで、公の理解は及ばなかった。
「ん〜…………」
未緒が寝返りを打った。
狭い保健室のベッドで寝返りを打ったので未緒にかかっていた布団がずれた。
「!!!!!」
制服の胸のボタンをいくつか外された未緒の姿がそこにあった。
(み、見えそう……)
公はベッドの反対側に回った。
(ね、寝てるよな……)
そう考えながら未緒の胸元をのぞき込んだ。
そこには胸の圧迫を外された、未緒の胸の谷間が大きく見えていた。
(も、もうちょっとかな……)
見えそうで見えない。そういう状況になっている。谷間は見えてもその奥は見えなかった。
(もうちょと、服を持ち上げたら……先っぽまで見えるかな?)
そう考えて、公は未緒の制服の胸元に手を伸ばした。
その時、

トントンッ

誰かが保健室のドアをノックした。
公は慌てて衝立の反対側にまわり、元のベッドに横になった。
「失礼しま〜す」
そう言って一人の生徒が入ってきた。
(あぶなかった……バレない内にやめて良かった。如月さんが起きたら洒落にならないところだった)
そう公は考えていた。
「あれ、館林先生いますか??」
もちろん館林先生は自習監督に行っているのでいない。だから誰も返事しない。
「仕方ないか……また来よっと」
そう言ってその生徒は出て行った。
(ふ〜……驚かせるなよ)
公は未緒の側に行った。

見ると、寝返りを打ったのか、未緒はベッドにうつぶせになっていた。
これでは胸を覗く事が出来ない。
(あ、う、うつぶせになってる……これじゃ……)
公は肩を落とした。
(何を言っているんだ。さっきもうやめようって、決めたじゃないか。
だいたい、寝ている女の子の胸を覗くなんて……え??)
公がそう考えたとき未緒がまた寝返りを打った。
布団が大きくめくれ上がり、未緒の下半身が露になった。
スカートが大きく捲れ上がり太股が丸見えになっている。
(せっかく……やめようと思っていたのに……)
考えながらも公は未緒の下半身の方へと移動していた。
しかし、スカートがめくれ上がってはいるが、その奥は見えそうで見えない。
(見えないかな……もうちょいなんだけどな……)
公は未緒のスカートを摘みそろそろと上へ移動させた。
(あと、3センチ)
そろそろと持ち上げる。
(あと、2センチ)
なおも持ち上げる。
(あと、1センチ)
ふと、公は顔をあげた。
(やっぱりやめよう……こんなことしちゃいけないよ)
だが、公の視線は未緒の太股に注がれる。
(でも、……パンツくらい……風が吹いたら見えるんだよ。なにもパンツの奥まで見ようってんじゃないし……)
再び指をスカートに伸ばす。
(いや、やめとこう。バレたら……如月さんになんて思われるか……)
腕を引っ込める。
(バレても……如月さんなら……謝ったら許してくれるんじゃないかな……)
虫のいい事を考えて再び手を伸ばす。
その時、
「う、う〜ん」
未緒が足を動かした。
その結果、スカートが上までめくれ上がり、未緒のパンツが丸見えになった。
(み、見えた〜!!)
と、同時に未緒が起きあがった。
「あ、あれ?? 主人……さんですか?」
未緒は目をこすりながら公に話しかけた。
「あ、あぁ。目が覚めたみたいだね」
公は高鳴る胸の鼓動を抑えて平静を装った。
「あ、そういえば私、授業中に貧血で倒れて……」
「もう、大丈夫??」
「あ、はい。でも、どうして主人さんが??」
「あ、俺も体育の授業中ボールが当たって気を失って……」
「そうだったんですか……」
そう言いながら、未緒は自分の体に目をやった。
スカートはめくれ上がり、胸元は大きくはだけていた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
あわてて、シーツで体を隠す。
「わ、わたし……寝相が悪いので……」
真っ赤になって未緒は公を見つめた。
「ま、まさか……私が寝ている間に……変な事してませんよね」
「あ、お、俺……別に……」
公は、しどろもどろになった。
「ほ、ほんとだよ。
 そりゃ、俺も男だから……変な事しそうになったけど……スカートを持ち上げそうになったり……
 でも、信じてくれる? 本当に何もしてないか ら」
「……………………」
未緒は疑い深げに公を見つめる。
「し、信じてくれよ。本当なんだから」
「……………………」
「如月さん……」
「わかりました。信じます。
 確かに私って寝相悪いですから……スカートとかめくれあがっちゃったかもしれませんね」
「如月さん……」
公はほっとして、そして立ち上がった。
「じゃ、俺、行くね。
 館林先生が戻ってきたら『大丈夫だから』って言っていたって伝えといてね」
そして、公はドアの方に歩いていった。
その時、未緒がぽつりといった。
「私……主人さんだったら……よかったのに……」
「え??」
公は立ち止まった。
「如月さん、今なんて?」
「あ、いえ、なんでもないんです」
未緒は意味ありげな微笑みを返した。

その時……
「ふぅ……もうちょい頑張ればいいのにね。折角気をきかせてやったのに」
保健室の窓の下で、館林先生が独り言をいっていた。

Fin

作品情報

作者名 ハマムラ
タイトルときめきメモリアル短編集
サブタイトル保健室の彼女
タグときめきメモリアル, 藤崎詩織, 主人公, 他
感想投稿数177
感想投稿最終日時2019年04月13日 01時39分01秒

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  • [★★★★★☆] 詩織ちゃん編もつくってほしい
  • [★★★★★★] 文章上手ですね♪これからも頑張って下さい。
  • [★★☆☆☆☆] もうちょっとエロティックに・・・・
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  • [★★☆☆☆☆] 思わずつっこみを入れたくなるような作品だと思う