プロローグ

読者の皆さんへ

この作品は私の前作「主畑公三郎」を読んでから読むと一層面白くなります。
読まれていない方も……それなりに楽しめます(笑)

From 作者

「犯行の際に使われるトリック、いろんな物があります。
 アリバイトリックなどはその代表的な物です。
 時代の流れと共にいろんなトリックが考案されてきました。
 列車を使う……車を使う……飛行機、ヘリコプター……さらに最近では携帯電話に電話転送機……
 科学技術の進歩は意外なトリックを生み出します。
 主畑公三郎です」


出演

主畑公三郎 主人

早泉好太郎 早乙女好雄

藤崎詩織

如月未緒

事件発生

「許さない……公くんを盗ったあの子を……私は許さない……」
少女が自室で計画を練っている。
「これで、アリバイは完ぺき……本当は……私が公くんと共演するはずだったのよ。
 なのに……風邪をひいた私も悪いけど……それを利用して公くんと……許さない」
計画ノートを閉じた少女は頭のヘアバンドを外すとベッドに入った。
実行は明日である。


日曜の午前十時、未緒は生徒会の仕事を片づけるために学校にきていた。
生徒会室で事務作業を一人でする事が多い。
「もう少し会長がしっかりしてくれてたらいいんですけどね……」
独り言を言いながら黙々と作業を続ける。
来年度の各部への予算の配分などで忙しい。
「コーヒーでも入れましょう」
そう自分に言いながら未緒は脇の机にのっているコンロに薬缶をかけた。
生徒会室とは言え、客がきたらお茶くらい出せるようにと一昨年の会長が備品として購入する事を決定したコンロだ。
カセットボンベだが役員は重宝している。お昼休みに、ここで鍋料理をする者がいたりするくらいだ。

カタカタカタ

音を立ててファックス機能付き電話から用紙が排出される。
未緒は出てきたローラー紙を切り取って読んだ。
来月の地区生徒会連絡会議の問い合わせだ。来月はきらめき高校が当番校になっている。
そのことで連絡が入る事になっていた。
読み終えた未緒はため息を尽きながら仕事を続けた。

「こんにちは」
入り口で声がした。
未緒が振り返ると入ってきたのは藤崎詩織だ。同じ演劇部に所属している。
映画研究会のビデオ映画を作成するときに彼女が主役の筈だったのが風邪で倒れ、未緒が代役を務めたことがある。
その時から二人の中はしっくりといっていなかった。
「藤崎さん、どうしたんですか?」
「ん? 未緒ちゃんどうしてるかな、と思って」
「生徒会の仕事が溜まってますから……」
未緒は愛想笑いを浮かべた。
「手伝おうか?」
「え、そんな……悪いですから」
「いいわよ、遠慮しないで」
未緒は詩織の申し出を意外に思いながらも忙しさの余り好意を受ける事にした。
「それじゃ、すいませんがそっちの資料を番号順に並べて言ってもらえますか?」
「うん、わかった」
詩織は作業を手伝い始めた。

詩織は作業を手伝いながら未緒の様子をうかがっていた。
未緒は資料を目の前にして電卓を叩きながら計算している。
向こうを向いている今、まさに好機だ。
詩織は傍らにあったブロンズ像……数年前何かの賞を生徒会が取ったときの物らしい……を手にすると背後から未緒に襲いかかった。
ガツンッ!!
「うっ……」
うめき声を上げて未緒は机の上につっぷした。
更に詩織は二度、三度と後頭部を殴りつけた。
未緒が絶命したのを確認すると詩織は新たな作業に入った。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
人を殺したと言う興奮から詩織は息が上がっていた。
未緒を引きずって横のロッカーに入れると、床に灯油を撒いた。
そして……
全ての作業が終了すると詩織は部屋を出て行った。


ジリリリリリリリリリリリ…………!!!!

火災警報が鳴り響いた。
守衛室から飛び出した警備員はすぐに生徒会室へ走った。
部屋の前にたどり着いた警備員は急いで消化器を使い室内の消化にかかった。
幸い発見が早かったため室内の書類等を燃やしただけで済んだ。
警備員は消防署に届けないと叱られるな、と思いながら室内に入った。
半分燃えている机の上に血痕らしきものがあった。
「なんだこりゃ……」
そう思った警備員が横のロッカーを見た。ロッカーの下から血が流れ出ている。
「ゴクッ……」
生唾を飲みながら警備員はロッカーを開けた。
「こ……これは……」
中を見た警備員は消防署よりも警察が先だと悟った。

捜査

きらめき高校の校門を自転車に乗った男がくぐった。
「また、この高校か……」
自転車を止めると男はコートを翻して建物に入ろうとした。
「あ、主畑さん! こっちですこっちです!」
上から声がした。
主畑が見上げると、3階の窓から早泉が身を乗り出している。
「現場は3階です」
「君、ちょっと来てくれないか?」
主畑は早泉に言った。
「え? そっちにですか?」
「そ、今すぐ」
「すぐですか?」
「飛び降りたら?」
「や、やだなぁ……勘弁して下さいよ。
 そこ入ったところから階段を上がったらすぐに現場ですから」
早泉の言葉に主畑は校舎に入って行った。

「えっと、死んでいたのは如月未緒、この高校の生徒です。
 生徒会の副会長らしくって、溜まっている仕事を片づけると言って家を出たそうです」
早泉が主畑に報告する。
「で、死亡推定時刻は午前十時ごろ、発見が早いので前後の幅は極めて狭いそうです」
早泉の報告を聞きながら主畑は室内に入って行った。
「燃えてるね? 火事?」
「そうなんですよ」
「ってことは殺人と放火か……」
「それなんですけどね……」
主畑の言葉に早泉が説明を続ける。
「火災発生時刻がお昼の十二時半ごろ。死亡推定時刻と大きくずれるんですよ」
「ちょっとまって!」
主畑は言った。
「じゃ、何かい? 犯人は十時に殺して十二時半に火をつけたって、そういうことになるのか?」
「そうですね」
早泉は脳天気に答える。
「おかしいじゃない、君。犯人は見つからないように早く逃げるのが普通だろ。
 それが二時間半も現場に留まっていたってのは……」
「第三者が火をつけたってのはどうです?」
「現実的ではないね。机の上やロッカーの血を見れば何かあったのは明白だ。
 そんなところで、第三者が火をつけたっていうのはね……殺害犯と放火犯は同一人物だろう」


早泉が生徒達の自宅を回り聞き込んだ所、未緒に恨みを持つ人物が浮かび上がった。
「藤崎詩織、被害者の同級生です。
 映画作品の主役を盗られて恨んでいたようですね」
「写真ある?」
主畑が早泉に言った。
「ありますけど……見たいですか?」
「見せて」
主畑は手を出した。早泉が写真を手渡す。
「こりゃ……可愛いねぇ」
主畑が驚いたように言った。
「なんでも学園のマドンナだそうですよ」
「会いに行こうか」
そう言うと主畑は歩き始めた。
「もう、主畑さん……女子高生趣味でもあるんですか?」
「馬鹿なこと言ってないの」
そう言って主畑は早泉のおでこをピシャッと叩いた。


夜に訪問した主畑と早泉は、詩織の自室に通された。
女の子らしい可愛い部屋だ。
ベッドにはピンクの枕が置かれていたり、ぬいぐるみが飾ってある。
机の上には参考書がならび、本棚には文庫本が収められていた。
脇には最近の流行かパソコンが置かれている。
詩織が目の前に座ると主畑は切り出した。
「如月さんが亡くなりました」
「はい、さっき友だちから電話で聞きました。未緒ちゃん、かわいそう……」
そう言って詩織はハンカチで涙を拭った。
構わず主畑が続ける。
「午前九時半から午後一時の間、あなたは何をしていましたか?」
「ちょちょっと主畑さん、こんな可愛い子が人を殺す分けないでしょう」
早泉は隣で抗議した。しかし、詩織は動じる様子はない。
「アリバイ……ですか?」
「そう思って下さって結構です」
「私と未緒ちゃんの事を聞いたんですね。
 ……誰から聞いたか知りませんが、あれはデマです。
 そりゃ、私が風邪を引いて未緒ちゃんに役を盗られた時はカッときましたけど、今はもう何のわだかまりもありません」
「そうですか……でも一応聞かせてもらえますか?」
「仕方ないですね。
 今朝は寝坊したので起きたのは十時でした。
 一人でいたんですけど、十一時半頃から友だちと二人でショッピングに行ってました。
 夕方までずっと一緒です」
「その友だちは?」
「美樹原愛さんです。電話は……」
詩織は愛の連絡先も教えた。
「失礼ですが……御両親は?」
「三日前から旅行中です」
詩織は毅然として答えた。


「ほら言ったでしょ。あんな可愛い子が人を殺すワケないでしょう。
 主畑さん、いいですか?
 十一時半からずっとアリバイがあると言う事は彼女には火をつける事ができないと言うことです。
 アリバイは成立します」
美樹原愛と会って詩織のアリバイを確認した二人は夜遅くにもかかわらず現場に戻ってきていた。
主畑は先ほどの愛の言葉を思い出していた。

「詩織ちゃんとですか?
 ええ、一緒でした。十一時ごろ電話がかかってきて、それから駅前で待ち合わせて、あとは夕方まで。
 あの……詩織ちゃんが何か?」

誘ったのは詩織の方だ。作意を感じた主畑は現場に戻ってきたのだ。


「でも、どうやっても十二時半に火をつける事はできないでしょう。
 消防の方でも発火装置等の仕掛は見つからなかったと言ってるし」
早泉が抗議する。
主畑は構わず室内を見てまわった。

「なんだ、あれは??」
主畑は棚の上に載っている物を見つけた。
「あ、ファックスですね。へぇ高いところに置いてありますね」
早泉はファックスを下におろした。
「でも、なんであんな高いところにのせたんでしょうね?
 不便だと思うけど……あれ、これ用紙切れてますね。ロール紙が全部無くなってますよ」
「燃えちゃったんじゃないのかい?」
主畑は言った。しかし、早泉が中を見せながら言った。
「でも燃えかすも入ってませんよ。これ最初から空ですね」
早泉の言葉に思うことがあった主畑は棚の下を見た。
そこにはカセットコンロがある。
主畑の目がキラリと光った。

暗転

「え〜、事件はこれで解決です。
 犯人はやはり藤崎詩織でした。実に巧妙なアリバイトリックが使われています。
 トリックの鍵は“ファックス”です。
 主畑公三郎でした」

真相解明

次の日の夕方、主畑は詩織の家を訪問した。
「え〜、お邪魔してもよろしいでしょうか?」
「主畑さん、どうかなさいましたか?」
詩織は尋ねた。
「はい、実は……事件の解決に向けて新たな発見があったのです。
 それを是非、聞いてもらいたいのですが?」
「私が……ですか?」
「はい」
詩織は主畑を自室に通した。


「実はですね……」
そう言うと主畑はポケットから写真を取りだした。
「この写真を見て下さい。現場でうちの鑑識が撮った物です」
「これが何か?」
詩織は問い返した。
「おかしい事に気付きませんか?」
「なにがでしょうか?」
「棚の上を見て下さい。ファックスが置いてあります」
主畑は写真の上の方を指で示した。
「ほんとうですね。どうしてこんなところに……生徒会の役員さんも変なことしますね」
「これは生徒会の役員がしたのではありません。先ほど役員達に聞いて確認しました」
「じゃ、事件の日に未緒ちゃんが……」
「それも違います。
 当日、生徒会連絡会議のファックスが入る事を如月さんは知っていました。
 にもかかわらずこんな高いところにファックスを置くはずがありません」
主畑は詩織を見ながら言った。
「犯人が……ですか?」
詩織が言う。
「御名答です」
主畑が拍手しながら言う。
「でも、なぜでしょうね」
詩織が聞き返した。
「この下にコンロがあるのがわかりますか?」
主畑は指さした。
詩織は頷く。
「このファックスからロール紙が大量に排出されると……どうなります?
 コンロの上に垂れ下がります。コンロに火が付いていたらどうなるでしょう?
 燃え上がります。そして、燃えた用紙は……灯油が撒かれた床に落ち……火事が起こります。
 これが犯人のアリバイトリックです。
 殺害後二時間半も経ってから火事が起きたのは犯人のアリバイ作りのためだったのです。
 如月さんの遺体がロッカーに入れられたのも、外からみて遺体に気付かれてはこのトリックが使えなくなる。
 火事によって遺体を発見させ、犯人が十二時半まで現場にいたと思わせたかった。
 これが犯人の用いたトリックです。
 これだけ高いところに置いたのは、たとえ自分がファックスを送るまでに別のファックスが届いたとしても火災が起こらないようにするためです。
 すぐ上に置いておくと……もしかして別のファックスが届いたらその時点で火災が起こってしまう。
 それではアリバイが成立しなくなりますからね」
主畑は一気にしゃべった。
詩織は背筋に寒い物を感じた。しかし、思い直した。
(まだ、私には第二の切り札がある……)

「なるほど、主畑さん。面白い推理ですね。
 では、犯人にも見当がついているのでしょうか?」
詩織は言った。
主畑は顔色一つ変えずに手のひらを上に向けたまま指で詩織を指し示し、そして言った。
「犯人は……あなたです」
「ふふ……ふふふ……ふふふふふふふふふふ……」
詩織は笑い出した。
「主畑さんともあろう方が……
 お忘れですか? 私にはアリバイがあるんですよ。
 仮にファックス用紙を使って火をつけたのが真実として……そのファックスが送られたであろう時間帯は私はメグとショッピングをしてました。
 その私がどうやってファックスを送れるというのですか?
 それとも、ファックスを送った人と殺害犯は別人だとでも仰るのですか?
 別人となると主畑さんの仰るアリバイ工作など何の意味もないのではないでしょうか?
 そのトリックはすべてが一人で行われた、と言う状況の下でしか成立しませんよね」
詩織は勝ち誇ったように言った。
「あの日、私たちはコンビニには行かなかったし、ずっと一緒に行動してました。
 それともメグが、私がファックスを送っていた、とでも言ったのですか?
 最後にもう一つ、私の家にはファックスはありません」
主畑はにっこりと笑った。
「見事です。私もその点が最後まで引っかかってました。
 どうやってファックスを送ったのか……生徒会室のファックスの受信記録は機械が熱さでやられてしまったため取り出すはできませんでした。
 NTTに記録を問い合わせてもいいのですが……あるきっかけで、その必要はないことに気づきました。
 この部屋にその答があります」
詩織は自分がゴクッと生唾を飲み込む音を耳にした。
(まさか、この人……気づいているの?)

立ち上がった主畑はつかつかと詩織の机の横にあるパソコンラックのコンピュータに歩み寄った。
そして、電源スイッチを入れた。
「このパソコンにはモデムがついていますね。ほら、後ろから電話線が出ています。
 間違いありませんね」
詩織は無言で頷いた。そして……
「勘違いされているようですが……うちのモデムはファックス機能が付いてるファックスモデムではありません。
 パソコンを自動運転させてファックスモデムでファックスを送った、というのは無理がありますよ」
しかし、主畑は顔色一つ変えなかった。
「もちろん、そうではないでしょう。
 何しろファックスモデムで送ると、この家の電話番号が受信記録に残ります。
 聡明なあなたがそんなポカをするはずがありません」
そう言ってるうちにコンピュータが立ち上がった。
「あ、ウィンドウズ95ですね。
 私も今日はずっと署で若い署員に使い方を習っていたところです。
 これ、難しいですね……えっと……」
主畑はマウスをいじりだした。
「これは……通信ソフトですね。ちょっとさわってもよろしいですか?」
(この人……解ってる……ダメだわ……)
顔が真っ青になってる詩織を横目に主畑は通信ソフトを起動した。
オートログインコマンドが効いているらしく通信ソフトは自動的にNIFTY-Serveへログインした。
「確認します。見せて貰ってもよろしいですね」
詩織が額に汗を浮かべながら頷くのを見て主畑はメールの送信簿を見るコマンドを打ちこんだ。

>>送信日 受信日時   宛先ID    名前
>>**/** **/** 12:33 F**-****-**** −−−−−−

「これはあなたがこの電話番号……つまり生徒会室のファックスに文書を送ったという記録です」
詩織は無言だ。
「パソコン通信でファックスが送れる。今日、若い署員に聞くまで私も知りませんでした。
 あなたは予め作っておいた文書……恐らく白紙でしょう……その文書を自動運転でこの時間に電子メールでファックスし火災を起こした。
 違いますでしょうか?
 最大3000行のファックスが送れるそうですね……もちろん、あなたは許容量最大の文書を送ったはずです。
 高いところに置いたファックスから下のコンロまでロール紙を垂れ下がるようにするためです。
 そのため用紙が切れたのでしょう。あのファックスは用紙がなくなっていました。
 ログファイルは消去されているでしょう、賢明なあなたのことですから……。
 しかし、センターのホストに送信記録が残っているというのは迂闊でしたね」
詩織は大きく息を吐くとポツリと言った。
「お見事です……主畑さん…………」
「ご同行願えますか?」
主畑は詩織を促した。
詩織は黙って頷くと立ち上がった。
「さ、参りましょうか」
詩織は主畑の正面に立った。そして……
「最後に一つお願いをしてもいいですか?」
詩織は主畑に向かって言った。
「なんでしょう?」
「一回だけでいいです……私を抱きしめてもらえませんか……私は……」
言いかけた詩織を制して主畑は詩織を抱きしめた。
「それ以上言わない方がいいでしょう」
詩織は主畑の胸の中で静かに目を閉じた。


主畑公三郎 主人公

早泉好太郎 早乙女好雄

藤崎詩織

如月未緒

美樹原愛


この物語はフィクションであり、主畑公三郎は架空の刑事です

エピローグ

「どう?」
詩織は目の前に座っている公に言った。
「うん……トリックは旨くできていると思うけど……」
公は読み終えた撮影計画ノートを机に置いて言った。
「じゃ、決まりね。ゆうべ遅くまで起きてて書いてよかった。
 じゃ、次の作品はこれを脚本化して撮影ね。今度は風邪はひかないわよ。
 前は未緒ちゃんに盗られちゃったもんね。役と……公くん……」
最後の言葉は口の中でもごもご言ったので公には聞こえなかった。
「ちょ、ちょっと待ってよ詩織……」
公は目の前で張り切っている詩織を制して言った。
「このラストシーンなんだけど……どうして刑事と犯人が抱き合うの?
 必然性が無いと思うんだけど……。
 それにラストで詩織が主畑に何を言いたいのかさっぱり解らないんだけど……」
「それはそれでいいの!」
詩織が毅然としていった。
「でも……」
「これでいいと言ったらいいの! さ、主役は公くん、犯人は私で撮影するわよ。
 文句ある?」
詩織は背後にあったハリセンに手を伸ばした。
「いや、……そりゃ……いいけど……でも……」
「うだうだ言わないの! やるといったらこの話でやるの!」
そう言うと詩織はハリセンをふるった。

スパーーーーーーーーンンンンンンッッッ

乾いた音が響いた。
この瞬間、演劇部の新作は舞台ではなくビデオ映画「帰ってきた主畑公三郎」になることが決定した。


(キスシーンも入れた方が……
え……もっと? やだ、詩織のエッチ……
でも、公くんなら……でも……やんやん……あ、そういうのもいいわね……書き直そうかな……)
ハリセンを食らって気絶している公の目の前で詩織は顔を真っ赤に染めていた。

本当に……終わり(^^;


作品情報

作者名 ハマムラ
タイトルときめきメモリアル短編集
サブタイトル帰ってきた主畑公三郎
タグときめきメモリアル, 藤崎詩織, 主人公, 他
感想投稿数164
感想投稿最終日時2019年04月20日 12時47分42秒

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  • [★★★★☆☆] いやいや、私もね「古畑任三郎」が大好きでしてね。この作品は最高です。ちなみに言いますと、原作で気に入ってるのは坂東八十助が出た「VS米沢八段・汚れた王将」です。
  • [★★★★☆☆] 「きらめき」に因んだ北陸ネタもお願いします