筆者 | じんざ |
原作 | ずっといっしょ |
シリーズタイトル | ふたりぼっち |
作品一覧
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ずっと一緒 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
同じ所に住んでいれば、知らなくてもいい事を知る事がある。
まして、それがつい一ヶ月前までは、この世にそんな子が居るなんてさえ思わなかった子ならば、なおさらの事だ‥‥
(初掲載:1998年04月11日)
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石塚美樹 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
美樹ちゃんの態度が、どこか出会った頃に戻っているような気がするのは気のせいではないのかもしれない。
いや、戻ったというより、近づこうとしているのに、近づけない。そんな感じだ。
(初掲載:1998年04月11日)
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わからずや [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
「…さんのわからずや!」
「わからずやはどっちだよ!」
美樹ちゃんの険しい声に負けずに、俺も声をあらげた。にらみ合う瞳。こうなったら違いに後には引けない。
どうしてこんな事になったんだ?‥‥
(初掲載:1998年08月02日)
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一人よりも二人 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
今苦しんでいるのは、もしかしたら僕一人なんじゃないか。
熱っぽい頭のせいだと解っていても、妙な孤独感だけは拭えない。
昨日から引きはじめた風邪は、僕をベットへ縛り付けているようだった‥‥
(初掲載:1999年10月04日)
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男のスタイル [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
最初は、女の子と同居なんていう、夢のようなシチュエーションだと思った。
しかし、それは一瞬も同然の喜びだった‥‥
(初掲載:1998年08月02日)
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お兄ちゃん [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
「お兄ちゃん」
玄関から、そう「僕」を呼ぶ声が聞こえてきた。
僕は慌てて、部屋のドアを開けて玄関を伺うと、見慣れない宅配便会社の配達員の格好をした男と、美樹ちゃんが両方とも僕の方を見て来た‥‥
(初掲載:1998年08月02日)
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破滅のプログラム [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
処分場からの汚水による汚染問題。
それが、今見ているTVで流れている特集番組の内容だった。
僕の部屋のTVの前には、僕の他に、美樹ちゃんが居る。
部屋着のまま、自分の部屋から持参したクッションを抱きしめながらそれを見ていた‥‥
(初掲載:1998年08月02日)
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二人のクリスマス [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
学生の短い休み。冬休み突入まで、もう間もなくという時期。
今年は、暖冬だと騒いでいたが、いざ蓋を開けてみると、そんな噂さえも凍りついてしまうのではないかというくらい、厳しい冬がやってきていた。
(初掲載:1998年11月03日)
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一歩を踏み出す勇気 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
冬休みという短い休みの間だけでも、休み明けにクラスの連中と顔を会わすだけで、久しぶりと感じてしまう。
これが、同じクラスでもこうなのだから、僕と学年が違っていたら、それ以上の存在になるに違いない。
もっとも、一緒に住んででもいれば別かもしれない。
(初掲載:1998年11月03日)
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二人でつくった匂い [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
ドアを開けて玄関に入ると、どこのうちにも必ずある物。
靴。下駄箱。サンダル。そんな当たり前の物より、もっと確実な物。
家の匂いだ。
考えてみれば、二人でこの空気を作ったのかもしれない。一年近くかけて。
(初掲載:1998年11月03日)
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ある雨の日 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
罪を犯した囚人が閉じ込められるのは、鉄の格子ならば、今の僕を閉じ込めているのは、雨という名前の格子だった。
しかし、決して外に出られない訳じゃない。
それでも出る気持ちにならないのは、雨が囲うのは心だからかもしれない‥‥
(初掲載:1998年11月03日)
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赤ん坊 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
もしかしたら、私は気がおかしくなってしまったのかもしれない。
昨日の夜あたりから、そう思うようになった。
私という中で、もう一人の私が、ある事をそっと囁く。私は、それを違和感とは思わない。納得して聞いてる。
そんな感じだった。
(初掲載:1999年01月16日)
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春 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
新しい生活が始まり。そして終わる。しかし、それはまた新しい生活への始まりでもあった。
春‥‥それは、終わりの季節。
春‥‥それは、始まりの季節。
(初掲載:1999年04月01日)
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いつでもいっしょ [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
「…さん。わたしもポッケステ買ってきました」
美樹ちゃんが、学校から帰ってくるなり、僕の部屋に来てそう言った。
僕がポッケステで遊んでいるのを見た美樹ちゃんが、林檎ちゃんもやってるし、面白そうだからどうしてもやりたいと言ってから、まだ丸一日経っていない。
(初掲載:1999年10月12日)
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一緒の証し [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
ずっと一緒。今、美樹の胸の中に居るのが、その言葉だった。
信じられないくらい小さな手合い。自由に動く事もままならない身体。
そんな不自由な身体でも、その身体の中には、ずっと一緒が込められている。
(初掲載:1999年10月04日)
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美樹と僕 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
僕が眠りについてから、どれくらい経っただろう‥‥
僕は女の子に出会った。いつも夢の中で出会う天使の女の子。
目を覚ますと夢での中の事はもとより、夢を見たという事さえも覚えてないのに、夢の中で逢うと、夢の中で話した事も、起きると忘れてしまう事さえも思い出せた。
そんな『彼女』への願い事に、彼女はこう答えた‥‥
(初掲載:1999年10月23日)
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夜 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
美樹は、寝ている少年の傍らにぺたんと座り、呆然としていた。
パジャマ姿の少年には、布団も何もかかっていない。真っ直ぐに寝ているだけだった。しかし、美樹は、そんな少年を見たまま、ハッキリとそれを知っていた。
‥‥もう少年は二度と目を開かないのだと‥‥
(初掲載:1999年10月23日)
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Night on Saturday [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
土曜の夜。
普段なら特別な土曜日という日も、連休の中の一日では幾分霞んでしまうが、それでも十分特別感があった。
学生にとって、土曜日ほど特別な日は無いんじゃないかと僕は思う。
そんな中、時計の秒針だけが動いて、夜を刻んでいた。
時折、紙のめくれる音と、布がこすれ合う音が微かに聞こえてくる‥‥
(初掲載:1999年11月06日)
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歩きだす二人 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
「う……ん」
寝返りを打ったついでに目を開けると、壁掛けの時計と目が合った。昼飯時をとっくに過ぎている。
春休みとは言え、こんな時間まで寝ていたのは始めてかもしれない。
例え休みだろうと、美希ちゃんの「いいかげんに起きてください」と言う声が長く寝かせてくれる事など無かったからだ。
だが……それも今はもう、無い。
(初掲載:1999年11月25日)
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そして… [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
別に、僕は美樹ちゃんと付き合っている訳でもないし、同居だって好きで始めた訳じゃない。
そりゃ、いくらか同じ所に住んでいれば気心だって知れてくるし、良く二人で色んな所へも出かけるようにもなった。
気持ちだって同居したての頃とはまったく違うようになったし、情だって移って来ないと言ったら嘘になる。
そして、お互いの、知らなくてもいい事さえも知る事になっている。
……でも、ただ、それだけだ……
(初掲載:2000年02月17日)
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夏休み。その終わり。 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
ベランダに立って、空を見上げて見た。
雲ひとつ無い青い空が広がっている。
怖いくらいに澄んでいた。
地球がひっくり返ったら、あの空に向かって落ちていくのだろうか。
(初掲載:2000年05月29日)
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X−1=1 [ふたりぼっち][2005年10月11日]
原作:ずっといっしょ, キーワード:石塚美樹, 青葉林檎
入り口にある自分達の部屋宛のポストの前に立った美樹は、手を伸ばしてポストに伸ばし、途中でやめて胸に引き戻した。
胸に手を当てながら、一度だけ大きく深呼吸。
今度は止める事もなくポストの扉に手をかけた。
こんな事をするようになって、すでに三日が経っていた……
(初掲載:2001年02月12日)