筆者 じんざ
原作ときめきメモリアル
シリーズタイトルあの時の詩

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作品一覧

  • 01:伝説に向かって [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    詩織は、ふと思う。
    あの樹の事を。
    あの時の事を。
    今、二人はあの時から伝説にむかって歩いている……
    (初掲載:2000年07月10日)
  • 02:卒業の朝に… [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    春の匂いが風に乗っていた。
    桜咲く3月。
    高校生活最後の朝。
    机の上には、フォトスタンド。
    入っている写真は‥‥‥
    (初掲載:2000年07月10日)
  • 03:二人の写真 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    校門を出る時に、二人できらめき高校の校舎を眺めていた。いずれ、切なさを覚え胸を痛めるであろう過去に変わる場所を。
    そんな場所と時間には、もう二度と戻れないのを、俺は実感していた。
    手に持っている卒業証書が、学校との決別を促しているような気がして少し憎らしくさえ思えた。
    (初掲載:2000年07月10日)
  • 04:眠れぬときは、羊を数えて [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    目をつぶると、ある風景が浮かんでくる。
    そこには詩織が居た。
    その場所で、初めて俺達はお互いの気持ちを確かめあった。
    思い出す度に目を開けてしまう。
    それこそが、なかなか寝付けない理由でもあった……
    (初掲載:2000年07月10日)
  • 05:一緒に行こう [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    高校生活もあと残り2ヶ月という、冬休み。
    受験対策に追われているのが常だろうけど、高校三年間努力した甲斐あって、それほどあわてる必要はなかった。先生からの太鼓判ももらった。
    でも、安心している訳じゃない。俺の心配はもっとよそにあるのだから。
    (初掲載:2000年07月10日)
  • 06:二人の不安 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    大学生活になじんでから、もう半年が経った。
    しかし、今でも高校時代が昨日の事のように思える。
    朝起きたら、高校の通学路を思い出してしまう事もしばしばあった。
    心の中の風景の色は褪せていないのに、なぜか褪せて見えていた……
    (初掲載:2000年07月15日)
  • 07:冬の海と誕生日 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    吐く息が白く変わり、空へと帰っていく12月。
    布団の中で、温もりを感じつつぼうっといろいろ事を考えていた。休日の朝、がらにもなく早くに眼が覚めてしまったおかげでたくさんの事を考えることができた。学校の事、勉強の事、遊びの事、趣味の事、体調の事、そして詩織の事‥‥
    (初掲載:2000年07月15日)
  • 08:夏の海と、二つの誕生日プレゼント [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    終業の鐘が鳴り響いたとたん、教室には緊張の糸が切れ、安堵のざわめきが戻ってきていた。
    窓の外は、まだ夏の太陽が西に傾いたとはいえ、強い陽射しが照りつけていた。
    伝説の樹も、青々とした葉をつけている。
    その美しさだけでも、十分に伝説になるような気がした……
    (初掲載:2000年07月15日)
  • 09:昨日と違う夢、昨日と違う何か [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    朝になった。
    部屋に充満するゆるやかな陽の光で目をさました俺は、天井をみつめていた。
    カーテンにあたる光の強さでわかる。今日はものすごく良い天気だ。
    今日は学校へ行く必要はなかった。
    高校には二度と通う必要はなかった。
    俺は昨日、きらめき高校を卒業したんだ‥‥‥
    (初掲載:2000年07月15日)
  • 10:紐緒香織 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    詩織は結構本気で感心しているようだったが、なんかこの場にいたたまれなくなった俺は、詩織を促して電脳部を出ていった。
    紐緒さんが、この時ニヤリと笑っていたのを俺は知らない。
    どこから調達したのか、二本の髪の毛を持っていた事を俺は知らない。
    知っていたら、あんな問題にはならなかっただろう。
    俺と詩織の髪の毛であるという事を‥‥
    (初掲載:2000年07月27日)
  • 11:- 嘘 - [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「あの‥‥‥詩織ちゃん」
    「あ、メグ。どうしたの?」
    美樹原愛の呼び止めに、藤崎詩織は振り向いた。
    詩織は愛の恥ずかしがり屋であることを良く知っている。
    その彼女が、自分にすら顔を赤らめながら話しかけてくるとなると、それなりの事があるのだろう……
    (初掲載:2000年07月27日)
  • 12:小さな指輪 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「そういえば、もうそろそろ詩織の誕生日だよね」
    きらめき高校卒業から2年。誕生日の事をこちらから言うと、いつも詩織は嬉しそうにほほえむ。
    「何がいい?」俺は、初めてそう聞いた。
    今までこんなことを聞いたことはなかったが、今年で二十歳になる。特別な節目だから、何か特別なものをプレゼントしたかったのだ……
    (初掲載:2000年07月27日)
  • 13:修学旅行 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    京都。
    9月の夜風は、まだ暖かさをとどめ、心地よい古都の息吹を運んでいた。
    修学旅行の3日目の夜の事であった。
    ロビーのソファに座って、何気なく本を読んでいた俺に、「ねえ‥‥ちょっと庭園歩かない?」と言ってきたのは詩織だった……
    (前編より)
    (初掲載:2000年07月27日)
  • 14:おやすみなさい… [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    ピンポーン。
    「あ、…。こんばんわぁ」
    エプロン姿の詩織が出迎えてくれた。
    髪を後ろで束ねて、邪魔にならないようにしているところをみると料理の手伝いをしていたのだろう。
    「外は寒かったでしょ‥‥さ、早く入って」
    薦めに従って、玄関をくぐる。今日は詩織の家の夕飯に呼ばれているのだ……
    (初掲載:2000年08月09日)
  • 15:詩織をさがして… [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    寒さが段々と強くなる十二月三十日。
    高校生活最後の年末を迎えていた。
    街の中を、時は駆け足で過ぎて行く。
    俺は、そんな時に追われるように、ひとり、部屋の大掃除をしていた……
    (初掲載:2000年08月09日)
  • 16:金魚 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    ニュースでは、今年は猛暑だと告げていた。
    言われなくても十分暑い。
    午後0時。気温三十度。
    うだるような暑さの中、俺は部屋でゴロゴロとしていた……
    (初掲載:2000年08月09日)
  • 17:インターハイに向けて [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「はっ!」
    鋭い叫びとともに、コートに黄色い弾丸が跳ね返った。
    インターハイが近い十二月の冬休み直前の部活での事であった。
    三年最後の大試合だけに、詩織だけでなく、俺達出場候補の部員も気合いが入るという物だ。
    俺は青空に向かって球を投げ上げた……
    (前編より)
    (初掲載:2000年08月29日)
  • 18:思い出を信じて [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    学校の屋上の金網越しから、俺と詩織は校門を見下ろしていた。
    春の手を引いてきた冬の風が、まだひんやりと冷たい。
    それでも、日差しだけは確実に春の予感を感じさせていた。
    見下ろす街は、春の準備をしているのだろうか……?
    (初掲載:2000年08月18日)
  • 19:貝殻のプレゼント [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    波の音が、心地よく響く。
    真っ青な空には雲一つ無いが、水平線の向こうには綿で出来た山の連なりのような入道雲がある。
    陽の光は容赦なく照りつけて、肌がチリチリするくらいだ。
    砂浜には、色とりどりのビーチパラソルが咲き乱れ、人がその間を流れていた……
    (初掲載:2000年08月18日)
  • 20:借り物競争 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    パン! とスタートの合図がなると同時に、身体が動いた。
    体育祭の、借り物競争で、今俺は走っている。
    高校最後の体育祭、悔いの無いように体調は万全だ。
    俺はすぐに後続を引き離し、封筒の中から折り畳まれた紙を取り出して広げた……
    (初掲載:2000年08月23日)
  • 21:いつかの相合い傘 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    雨が降ってきたのは、仕事の打ち合わせから帰ってくる時だった。
    歩いていた俺は、ふと店の軒先で雨宿りをしている女の子を見て、一瞬心臓が跳ね上がる。
    「‥‥‥詩織?」
    その姿で居る筈が無いだけに、俺は一瞬茫然となってしまった。
    「‥‥‥‥‥‥‥‥紗織?」
    雨で霞む先に見えたのは、紗織だった……
    (初掲載:2000年08月23日)
  • 22:風呂上がりのフルーツ牛乳 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    ドアを開けた瞬間、冬の色が濃い秋の空気がすうっと流れ込んできた。
    星がきれいに出ている。
    夜食をコンビニに買い出しに行くには、十分過ぎる雰囲気だ。
    静かな夜の街。昼とは違う世界を歩く楽しさ。
    そんな、いつもとは違う時間に踏み込める楽しさがある。
    (初掲載:2000年08月23日)
  • 23:気になるアイツ [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「ねえ、なにしてるの?」
    休み時間になって、教室の窓から外を見ていた俺は、呼ばれて振り返った。
    「どうしたの? こんなところでボーっとしちゃって」
    窓から入ってくる夏の匂いの濃い空気の心地よさのせいだろうか、詩織は柔らかな微笑みを浮かべている。窓から差し込む光が、詩織の夏服の白さを輝かせていた……
    (初掲載:2000年08月23日)
  • 24:知子ちゃんといっしょ [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    冬の空気が、昼になっても冷たさを失わないでいた。
    卒業が近い。
    ───高校最後の冬休み
    「あれ? その子は?」
    俺が家の門を出た時、小さな女の子の手を引いた詩織とばったり出くわした……
    (前編より)
    (初掲載:2000年08月29日)
  • 25:温泉旅行 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「え? なんだって?」
    俺はもう一度聞き返した。
    「だから、藤崎さんのご家族と一緒に温泉に行く事になったのよ。行くでしょ?」
    朝食を食べている時に、母さんがいきなり言ってきた……
    (初掲載:2000年09月03日)
  • 26:また明日‥‥ [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「さよなら・ばいばい・またね」
    手を振る時に、そう何度も心の中で繰り返した。
    それはまた会うための、内緒のおまじない。
    (初掲載:2000年09月03日)
  • 27:変わらぬもの [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「なんだ‥‥好雄の奴遅いなぁ‥‥‥」
    俺は腕時計を見た。
    約束の時間をもうとっくに過ぎている。
    まあ、別に待つのも、今は全然苦にならない。今は一人で待っている訳でもないし……
    (初掲載:2000年09月03日)
  • 28:土曜日の夜 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    夜というのは、どうにも不思議な時間だという気がしてならない。
    昼間とは違う色。違う温度。違う音。
    夜はそんな、いつもと違う時間。
    空気には、いまだ夏の名残があった。
    そんな空気を追い出そうと、カーテンを開けて窓に手をかけた時、詩織の部屋に人影が見えた……
    (初掲載:2000年09月30日)
  • 29:最後のあいさつ [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「おはよう」
    門を出ると、いきなりそう声がした。
    特別な朝。特別な日。そんな日に、少し早起きできたのは、昨日の夜に詩織と約束したからだった。
    三月一日。
    俺達がきらめき高校を巣立つ最後の日…………
    (初掲載:2000年09月30日)
  • 30:私のメモリアル [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    わたしはそう思ってない。
    思ってないと思っていた。
    親しい友達。小さい時からの幼なじみ。
    気が付けば近くに居る人……
    (初掲載:2000年09月30日)
  • 31:はい、チーズ [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    この制服姿を見るのは、もう再び無いかもしれない。
    手に持っている卒業証書と、胸につけた卒業生の証が嘘のように思える。
    ただ、目のあたりに残る、うっすらとした赤みが、あの樹の下であった事を実感させてくれた。
    ふと、あの言葉‥‥いまだに信じられない気持ちが、心のどこかに湧きだした……
    (初掲載:2000年10月18日)
  • 32:秋風の小悪魔 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    女の子が俺の横を通りすがったのは分かった。
    しかし、別に人の顔をいちいち観察して見て歩いている訳じゃない。
    ただ、女の子が通りすがった。それだけしか思わなかった。
    「‥‥‥もしかして…君?」
    すれ違い様に俺は名前を呼ばれて、ハっとしてそっちを向くと、女の子が立ち止まってずっとこっちを見ていた。
    (初掲載:2000年10月18日)
  • 33:祭りの後に [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「わぁ」
    驚きの声が隣であがった。嬉しそうな響きが十分にこもった声だ。
    チラリと横目で声の主の目を見ると、瞳に花火がキラキラと映っているのが見える。
    その瞳から俺が目を逸らすまで、気づかれるんじゃないかとヒヤヒヤした……
    (初掲載:2000年10月18日)
  • 34:風鈴 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    まるで刺そうとしているかのように照りつける陽の光。
    その光に、身体の血がどうにも騒いで仕方がない。
    夏。
    七月の終わり。
    高校最後の夏休み……
    (初掲載:2000年10月21日)
  • 35:嫉妬 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    ある意味で、わかっていた答えが返ってきた。
    電話の向こうで、詩織がどんな顔をしているのか、俺にはわからない。
    嘘の言葉。いつわりの笑顔。自分でも情けなくなるほどの笑顔。
    今度っていつだろう。今度があるのだろうか。今度という言葉は、もしかして無理して使っているんじゃないだろうか……
    (初掲載:2000年10月28日)
  • 36:大人の赤ちゃん [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    玄関のドアを開けても、詩織は出てこなかった。代わりに奥から声がする。
    「おい、なにや‥‥」
    そこまで言って部屋に顔を出した時、詩織が人指し指を手にあてている。
    すぐに納得した。
    ベビーベットには、香織が寝ている。紗織は、今詩織のおっぱいを飲んでいる最中だ……
    (初掲載:2000年11月23日)
  • 37:3通の年賀状 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    年が明けてから、三日が過ぎた。
    三が日も終わりを迎えたが、まだ世間は正月気分は抜けていないようだ。
    今年の正月には、特別な意味は一応あった。
    なにしろ、高校最後の正月だ。今年の三月で俺は三年間を過ごしてきたきらめき高校とも別れる事になる年だからだ……
    (初掲載:2000年11月23日)
  • 38:春 〜卒業まであと2日〜 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    詩織と河川敷きの芝生の上。
    ゆるやかな春の陽射しに身を任せた詩織を眺めながら……
    (初掲載:2000年11月23日)
  • 39:夏 〜朝顔模様の浴衣〜 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    8月3日
    今日は夜になってから詩織と待ち合わせて神社へ行く事になった。
    高校最後の夏休み。
    玄関のチャイムの音でドアを開けると、詩織がいた……
    (初掲載:2000年12月28日)
  • 40:二人三脚 〜体育祭〜 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    緊張と不安と期待の中で、俺は呼吸を落ち着かせた。
    「二人三脚に出場する選手は、昼までに相手選手の名前と一緒に届け出てください」
    参加するのは、ペアで五組だけであった。
    無作為に選出されたメンバーの中に、俺の名前と詩織の名前が上がっていた……
    (初掲載:2000年12月28日)
  • 41:テレフォンナンバー [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    短縮ダイヤルを使わずに、自分でひとつずつボタンを押した。
    些細な用事を、頭のなかで何度も何度も復唱しながら、受話器を耳に当てた。
    用もなくかける事はほとんど無かったが、無理に用事らしい用事を作る事でしか電話をかけられない自分が、少しだけ恨めしい……
    (初掲載:2000年12月28日)
  • 42:夕立 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    北の空に、薄暗い雲があるな。
    そう思っていたのは五分前の事だった。
    夏の蒸し暑い空気の中になんとなく予感みたいな臭いが混ざっているのに、もっと早く気づいておけば良かったのかもしれない。
    (初掲載:2001年02月12日)
  • 43:告白 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    青空を隠すように広がった樹の葉が、小さな風にざわめいている。
    その下には俺が居た。
    目の前には詩織が居る。
    胸には、赤い花。
    俺の胸にも赤い花。
    第四十五回。きらめき高校卒業生の証。
    この学校との‥‥‥別れの証。
    (初掲載:2001年02月12日)
  • 44:詩織と愛 [あの時の詩][2006年10月10日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「‥‥詩織ちゃん?」
    「ん? なに?」
    愛の声に、詩織は不思議そうな顔をしながら、ベットに座りこんだ。
    つい最近導入したコードレス電話のせいで、若干長話が過ぎるのを詩織自身は多少気にはしているものの、どうしても話し込んでしまう。
    (初掲載:2001年02月12日)
  • 45:香織と沙織 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「二人とも、ちょっといらっしゃい」
    ブランコに乗っている香織と紗織に声をかけた。
    すると、二人ともすぐにブランコを漕ぐのをやめた。
    跳ねるようにブランコから降りる香織と、ゆっくりと立ち上がる紗織。
    二人の性格、おもしろいほどに反対。だから、わたしも飽きないんだけど。
    (初掲載:2001年02月24日)
  • 46:中央公園 〜芝生の上〜 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「池に落ちそうになった事とかあったよね」
    「あ、それ思い出した。俺だ」
    「そう、よく覚えてたね」
    ニッコリと微笑んだ。俺が覚えていた事が、嬉しいかったのだろうか?
    まさか‥‥な。
    (初掲載:2001年02月24日)
  • 47:雨 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    公園は、いつも見るほど明るくは無かった。
    遊ぶ子供もいない。
    降り注ぐ陽の光もない。
    ただ、植えられている木々達が夏を前にして降った雨を、嬉しそうにその身に受けているような気がした。
    地面に大きく広がった水たまりには、小さな波紋が絶え間なく出来ては消えている……
    (初掲載:2001年02月24日)
  • 48:6年 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    今までの時間からくらべればたったの四分の一程度だが、そのほとんどの年月を身近で一緒に過ごして来た人が居る事を考えたら、長い短いというより不思議な感じがする。
    六年前───
    それまでとは違う時間が始まった事は、今も忘れてはいない。
    (初掲載:2001年02月24日)
  • 49:青い空 [あの時の詩][2007年06月17日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「あ、信号変わったわ。わたりましょう」
    話をはぐらかすように、詩織はすぐに横断歩道へと歩き出していた。
    俺も仕方なくついて行こうとした時、耳にイヤな音が響いてくるのが聞こえた。
    首をそっちの方に向けると同時に、俺は自分でも信じられないくらいの反応をした……
    (初掲載:2001年02月24日)
  • 50:天と地の星達 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    刺すように冷たい空気。
    澄んだ空気は、氷が水を通り越して、いきなり空気に昇華したかのようだ。
    それを一層強調しているのは、夜という世界。
    一月。最後の冬休みを飾るには最高の夜かもしれなかった。
    なぜなら、今、隣で一緒にベンチに座りながら、
    夜空へ消えていく白い息を重ねているのは────
    (初掲載:2001年04月02日)
  • 51:秘密の計画 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    秘密の計画。
    これがどれほど楽しいか、どれほどスリルがあるか。
    小さい時は、すくなくともそうだった。
    それが今も変わっていない事は、不思議としか言い様がない……
    (初掲載:2001年06月30日)
  • 52:白い贈り物 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    十二月二十九日。
    高校生活最後の冬休み。
    特に感慨深いという事はなかった。
    そんな事を毎日思ってもいられないし、思った所で、高校生活が伸びる訳でもない。
    ただ‥‥
    (初掲載:2001年06月30日)
  • 53:ミャン助の尻尾 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    街を行けば、聞こえてくるのは、ジングルベル。
    目にはいる物は、ショーウィンドウの中の、赤と緑。銀の星(シルバースター)。
    感じるのは、クリスマスの影に隠れた年末という名の冷えきった空気。
    思いっきり吸い込めば、明日が見えてくるかもしれない……
    (初掲載:2001年06月30日)
  • 54:ふたりの歩み [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    いつの頃からだろう。
    俺の身長が伸びた頃からだろうか。
    一歩踏み出せば、その歩幅は小さかった頃とは比較にならないくらい前に進んでいく。
    速く。速く。速く……
    (初掲載:2001年11月04日)
  • 55:いつかきっと [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    「詩織‥‥詩織」
    そう呼ぶ声が聞こえてきた。
    聞き覚えのある声。懐かしい気持ちになるその声がだんだん強くなってきたとき明るい光がとたんにやってきて、わたしは目を覚ました……
    (初掲載:2001年11月04日)
  • 56:恋の終わり [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    詩織から告げられた想いに応えた日から、どれくらい年月が経っただろう。
    どれくらい、一緒の時を過ごしただろうか‥‥
    この海に来る度に、そんな事をふと思い出す。
    ずっと続いていた恋が、終わったこの場所だからだ‥‥
    (初掲載:2001年11月04日)
  • 57:終わらない事 [あの時の詩][2005年10月01日]
    原作:ときめきメモリアル, キーワード:藤崎詩織
    赤い光が、まるで川の流れのように、遠くに見える町の中へ流れ込んでいく。
    夜空に足りない星を、必死に補おうとしているような、夜の町の中へ。
    逆に、町から向かって来るのは、白い光の川……
    (初掲載:2001年11月04日)